なぜビートルズは売れ続けるのか?
ビートルズと言えば、言わずと知れた史上最大の人気バンドですが、人気だけでなく、楽曲のセールスもハンパじゃありません。なんと累計10億枚の売上を誇るそうです。
そのビートルズが現役で活躍した時代ですが、当時は音楽をラジオで聴くというのが一般的でした。自分の好きな曲をラジオ番組にリクエストしてかけてもらい、それを聴くのです。すると、人気の曲であれば常にラジオで流れているので、わざわざレコードを買う必要がありません。
今の時代で言えば、Youtubeで曲を聴けるからCDを買う必要がなく、なかなかCDが売れないというのに似ていますね。
ところが、ビートルズは当時からレコードが売れ続け、現在もCDが売れ続けています。なぜでしょうか?
秘密の鍵は、音楽そのものに隠されていました。実は、ビートルズの曲は“終わらない”んです!
文章を書く時には「文法」というルールが存在するように、音楽を作るにもルールが存在します。この文法上では、文章を終える時には終止形という形で終えます。終止形で文章を終えないと、なんとなく尻切れトンボのようで気持ちが悪い感覚になりますよね?
同様に、音楽も終わる時には終止形というものを使います。この終止形を使わないと音楽が「終わった!」という感じがしないのです。
ところが、ビートルズの曲は終止形で終わらないのです。終わらないということは永遠に曲が続くことを意味します。試しにビートルズの「Yesterday」を聴いてみて下さい。曲の終わりから、サビの初めや曲の歌い出しに戻ってみても違和感なく繋がるはずです。
同様に、「Let it be」でも同じように聴いてみてください。曲の終わりから、曲のどの部分に繋げても綺麗に繋がるはずです。
つまり、ビートルズの曲はいったん終わった後、またすぐに歌い出しに繋がるようになっているため、聴き終わった人は無意識のうちに頭の中でメロディーをリピートしてしまい、また最初から聴きたくなってしまうのです。だからこそ、ラジオで1回聴いただけでは満足できず、何回でも聴きたくなる、つまりレコードやCDを買わずにはいられないというシカケになっているのです。
これが、ビートルズが爆発的に売れた秘密です。
換言すると、“満足感は与えつつも充足感は与えない”ということになります。これは、他のビジネスで考えた場合、「とても良いサービスには満足したが、なんとなく満たされない」という感覚を作り出すことにほかなりません。
この「満たされない感覚を作る」ビジネスについては、また別の機会にご紹介したいと思います。